エピソード

田中さんがこのペンタブレットを購入したのは4年前の春でした。SNSで見かけた美しいデジタルアートに魅了され、「自分もこんな絵が描けたら…」と夢見ていたそうです。仕事の合間を縫って、YouTubeのチュートリアルを見ながら、毎日少しずつ練習を重ねていました。

最初は順調だったようです。線を引くだけでも楽しく、簡単なキャラクターを描けるようになった時は本当に嬉しかったと、田中さんは目を輝かせながら語ってくれました。しかし、理想と現実のギャップに徐々に苦しむようになっていったとのこと。SNSで見る作品たちは、自分の絵と比べ物にならないほど素晴らしく、自信を失っていったそうです。

「才能がないのかも…」そんな思いが頭をよぎるようになり、ペンタブレットに触れる機会が減っていきました。気づけば、それは引き出しの中で眠るだけの存在になっていました。

田中さんの話を聞いていると、創作活動に挑戦することの喜びと、同時に直面する挫折感が痛いほど伝わってきました。しかし、その経験を通じて得たものも大きかったようです。

出品する想い

このペンタブレットには、田中さんにとって夢と挫折の両方が詰まっています。しかし、それは決して無駄な経験ではなかったと振り返ります。自分の限界に挑戦することの大切さ、そして時には立ち止まることも必要だということを学んだそうです。

今回このペンタブレットを手放すのは、誰かの新しい挑戦のきっかけになればという想いから。田中さんの中で眠っている可能性を、次の持ち主の方が開花させてくれることを願っているとのこと。このペンタブレットが、新しい持ち主の創造性を解き放つ鍵となることを、田中さんは心から願っています。

話を聞きながら、このペンタブレットが単なる道具ではなく、夢と挑戦の象徴であることを強く感じました。次の持ち主の方にも、きっとその想いが伝わることでしょう。

誰の手に渡ってほしいか

田中さんは、このペンタブレットを絵を描くことに情熱を持ち始めた方、特に初心者の方に渡ってほしいと考えています。プロのイラストレーターを目指す必要はありません。自分の想像力を形にすることを楽しみ、小さな進歩を喜べる人に使ってほしいとのこと。また、時には挫折を感じても、それを乗り越えて続けていける粘り強さを持った方に使ってほしいという想いも熱く語ってくれました。